日ごろ、思うことなどつれづれに。 バックナンバーはこちらです。

仏像が眺めている庭
あまり本数が多くないJRの駅から、2-3時間に1本来る路線バスに乗って行ったところに 私の好きなお寺のひとつがあります。 昔は広大な寺域を誇ったと縁起に書いてあるお寺は今は決して広いとは言えず、 それでも国宝、重文の仏像が何体も本堂に鎮座しています。 開け放たれた本堂から、仏像たちが寺の庭を眺めているようなお寺です。

このお寺がにぎわうのは紫陽花の頃、紅葉の頃。 それ以外の季節は静かなお寺で、本堂の広い縁側に座っていると、森の空気に包まれて、 何とも言えず、ほっとする気分になります。 一度、男性参拝客が縁側で柱にもたれて、うたた寝していたこともあります。

今年も紫陽花の頃にお詣りに行きました。 梅雨の中休みで晴れて暑い日だったので、暑くなる前にと、拝観が始まってまもない朝に行きました。 着いてすぐ本堂に上がり、住職さんに「今年も紫陽花の時期にお詣りに来ることができました」と しばらく話した後、お詣りして、カメラを出して紫陽花を撮り始めました。 すると間もなく、20名ほどの年配カメラマングループがやってきて、到着するなり全員ぱたぱたと カメラと三脚を取り出して、狭い境内は三脚だらけになりました。

去年の紫陽花の頃も、写真家グループといっしょになりましたが、皆さん穏やかな気のいい方たちで、 いろんな話をしながら静かに写真を撮りましたが、今年のこのグループは違いました。 「あんた達、本尊さんにお詣りもしないで紫陽花撮ってるの? そういう私もお詣りしてないけどねぇ」 とグループの1人は本堂の前で大声で話していました。 すぐそばの本堂に座っていらした住職さんにはまる聞こえだったはずです。

お寺には初めて今年は「三脚の使用が迷惑をかけていると判断した場合には今後いっさいの 三脚使用を禁止しますので注意してください」という趣旨の貼り紙が門前に2か所、掲げられていました。 毎年、紫陽花の手入れをなさっている住職さんご家族に感謝しつつ、三脚禁止にはならないことを願っています。 
(2006年7月1日記)



top