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日ごろ、思うことなどつれづれに。 バックナンバーはこちらです。
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祖母のサラサウツギ |
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実家の路地では初夏になると毎年、雪が積もったようにサラサウツギの花が咲きました。
通りかかった人から、「きれいですね」、「毎年、よく咲きますね」と声をかけられることもありました。
ところが、去年は隣りの建物の取り壊しが決まって、敷地境界のそばに数本植わっていたサラサウツギは
業者の勘違いで、幹の途中からばっさり切られてしまいました。
それでもまた芽を吹いて、残った幹と枝から葉っぱをふさふさつけました。 この冬に解体工事が始まりました。 サラサウツギのすぐそばにあったフェンスが取り払われ、フェンスの撤去だけで、 ウツギはかなりの打撃を受けました。そして、ウツギの足元にあった紫陽花はほとんど根こそぎなくなりました。 解体工事の人に、「この木は亡くなった祖母がここに挿し木して育った形見の木だから、可能なら残してほしい」とお願いしました。 紫陽花とウツギが咲いた頃の写真を見せると、「きれいだなぁ。大事にしてやらんとな。この写真くれる?」と 重機担当の体格のいいおじさんは写真をポケットに入れました。 工事の人たちはみんな優しくて、ずいぶん気をつかって残す努力をしてくれました。 それでも、間口のせまい敷地に建った鉄筋構造物を壊すのは容易ではなくて、ウツギはしばしば重機に踏まれ、 解体の人が根巻きして邪魔にならない場所に移してくれたにも関わらず全滅しました。 形のあるものはみな、なくなったり壊れたりします。 解体されることは知っていたのに、去年はこのサラサウツギが満開になった頃、 花のクローズアップは撮ったけれど、木の全体は写しませんでした。 途中からざっくり切られて、哀れな姿になっていたのも全体を撮らなかった理由のひとつですが、 まさか、ウツギが1本残らずなくなるとは思いませんでした。 サラサウツギの咲く前のピンクの蕾が好きです。 咲くと、蕾のピンクは薄れて真っ白になります。 庭に残っている木から挿し木して、いつかまた白い花を咲かせよう。 (2005年5月17日記) |
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一昨々年に撮った祖母のサラサウツギ![]() |