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富士山測候所
 「昭和7年(1932年)7月11日朝6時、風は穏やかであるが前夜からの雪が降り続いている」
富士山測候所開設の日の日誌にはこう綴られているそうです。

72年、有人観測を続けてきた富士山測候所が10月から無人化されます。 各地で大きな爪痕を残した台風21号の通過を待って、10月1日に最後の荷物とともに職員が下山すると ニュースの特集で言っていました。

特集では、富士山頂での観測が命がけであること。 4人の職員が交替で、ブルドーザーで登れる5合目からあとは、歩いて測候所まで通ったこと。 頂上を目指す途中では烈風に見舞われて、滑落した職員もいることなどを伝えて、 冬場は氷点下30℃以下の屋外で風に吹き飛ばされそうになりながら、凍りついた氷を割って、 観測の妨げにならないように落としている映像も映していました。

気象衛星が稼働するまでは、高い富士山から送られる気象データが、台風や集中豪雨などの予報の鍵を握っていたそうです。 以前は裾野市水ヶ塚公園から富士山を見上げると、ぽつんと小さく見えた丸い富士山レーダードームは富士吉田に移設されて博物館になりました。 そのドームの外壁を見るだけでも、どれほど富士山頂の気候が過酷であるかが感じられました。

最後の観測を終えて、晴天の青空の中を下山されたでしょうか。 今日はまわりの山がすべて見えそうなほどいいお天気です。 これからは「富士山で初雪が降りました」の報告は届かないことになります。 少し寂しい気がします。 あんなところに人が暮らしているのだと思っていたのになぁ。(2004年10月1日記)

まだ測候所に職員がいる富士山です。台風21号が通過した朝に撮りました。

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