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昔きもの
父方の祖母は歌舞伎が好きでした。 友だちと歌舞伎を見に行く日には着物を着て、いそいそと出かけて行きました。 ずいぶん年老いてからは、師走に南座の顔見世興行に同伴するのが私の役目でした。 連獅子など動きのある場面は楽しく、三味線のつま弾きに合わせて静かなせりふが続く場面では私は退屈でした。

祖母は着物好きで、私にもよく着物を買ってくれました。 お茶を習っていた頃にはお茶会や初釜で着ましたが、習わなくなってからは、ほとんど着なくなりました。 着物は用意にも手間がかかるし、着ている時には汚してはいけないと気をつかうし、 着たあとの始末も大変だし。

去年の春、ある集まりに久しぶりに着物を着ようかなぁと思っていたら、あいにくその日は雨になりました。 友だちに「今日は着物を着ようかと思っていたら雨が降った」と話したら、それがきっかけで 彼女からアンティークの着物のことを教えてもらいました。 着物が数千円で買えると聞いて驚きました。 教えてもらったお店に行って、最初に買った「昔きもの」が写真の着物です。 帯は現代物ですが、着物は大正時代のアンティークだそうです。 祖母が選んでくれた晴れ着っぽい着物ではなくて、少し懐かしい感じのする着物です。

今では数千円の着物には驚かなくなりました。 よく探せば千円ほどでも、充分着られるいいものが見つかります。 それに、買わなくても、アンティークは見ているだけでも楽しいです。 (2004年5月1日記)



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