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冨美家
学生時代によく行った「冨美家」というお店があります。 おうどん屋さん、甘いもの屋さん、そんな感じのお店で、テニスの練習の帰りに友だちや先輩たちとよく寄りました。 久しぶりに行ってみました。ちょうど、お昼時で店は混雑していて、「合い席でいいですか?」と案内されました。 それほどお腹がすいていなかったので、きつねうどんを注文しました。 向いの席にすわっていらした方が話しかけてこられたのは私のきつねうどんに続いて、 その方のなべ焼きうどんが運ばれた頃でした。

栗色の髪の毛のその小柄なおばあちゃま(とお呼びすると失礼かしら)と、お互いの おうどんを食べながら、話がはずみました。 最近、コンピュータを始められたそうです。 年輩の方なのにすごいなぁと思っていたところ、年齢を聞いてびっくり。80歳ですって。 何十年と編み物を教えてこられたそうで、今はお弟子さんを取るのを止めて、ボランティアで 月に3回教えていると聞いて、もっとびっくり。 油絵を描いているので、その買い物に出てきたと聞いて、なおびっくり。

大学の頃、冨美家ではいつも友だちとぺちゃくちゃしゃべりながら食べていました。 とても80歳には見えないお洒落で笑顔の素敵なおばあちゃまとぺちゃくちゃしゃべりながら 食べた冨美家のおうどんはとても懐かしい味でした。 ちょっと疲れていたその日、「私もまだまだ。もっとがんばらなきゃ」と思いました。
(2003年10月1日記)




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