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祖母のセキセイインコ
母方の祖母は動物が嫌いでした。祖父が「あんたようそれで子ども4人も育てましたな」と言うほど。 祖母が可愛がった動物は私の母(祖母の娘)の家にいるヨーキーと、今から話すセキセイインコくらいではないかと思うほどです。 祖母のうちに迷い込んできたその小鳥を、なぜか動物嫌いの祖母は捕まえました。 当時、祖母といっしょに住んでいた叔母は「おばあちゃんが捕まえた」と不思議そうでした。

そのセキセイインコはよく音に反応しました。祖母は信心深い仏教徒で、毎朝お念仏をかかしたことがありませんでした。 やがて、特に訓練するともなく、彼はお念仏を唱えるようになりました。 九官鳥は人間そっくりの声を出しますが長い言葉は覚えられない、セキセイインコは声は悪くても、長いフレーズを覚える と聞いています。そこで、私が引き取って、童謡を教えることにしました。選んだ曲は「あんたがたどこさ」。 すぐに歌うようになったのはいいのだけれど。

私の「指導計画」ではあんたがたどこさ全曲演奏でしたが、どうもセキセイインコには人間ほどの集中力はないようです。 いつまで経っても、「あんたがったどこっこさ、ひーごさ、ひーごどっこさ。なむあみだぶ」、「おはよう。ひぃぃぃーごどっこさ!」という調子でした。 歌を教えたのは私で、お念仏は祖母ですから、歌はトーンが高く、そのあと低い声で「なむあみだぶ」と言われるので、 がくーっときます。結局、全曲演奏はなりませんでした。

ものまねがとてもうまくて、勉強していて辞書をめくるとペラッとまねるし、カーテンを閉めるとすかさず、シャーッと言うし、 照明をつけるとカチッと言うし、毎日暮らしていて吹き出すこともしばしば、朝は小屋から聞こえてくる「なむあみだぶ、なむあみだぶ」の 低い声に起こされたりもしました。祖母の念仏インコは思い出のセキセイインコです。

写真は信心深かった祖母が毎日続けていた写経です。 (2003年6月16日記)


般若心経

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